と感心しつつ話をさらに聞くと、「ぜひ、必要な大学と思います。
民間でやってもらえませんか。
どうですか?」と言うのである。
「どうですか?」と言われて帰ってきたが、さてどうするか。
周囲のさまざまな人に「家庭教育の大学をどう思うか」と尋ねまわった。
「家庭教育って何をするの?」がほとんどの人の反応である。
子どもにとって家庭で何をすべきかという問題意識を持っていない限り「家庭教育」の具体的なイメージが沸かないようである。
勉強は学校でするもの、家ではしつけくらいという意識なのだろう。
それが普通なのかもしれない。
しかも、家庭教育学があるわけでもなく、そんな学部を持っている大学も存在しない。
そんな状態で「家庭教育の大学」と言われてすぐに意見を言える人が少ないのも仕方ない。
詳しく内容を説明すると、ほとんどの人が、「おもしろい」「いいですね」「必要ですね」といった感想に変わる。
ということは、家庭教育の大学を作るということは、「家庭教育」とは何か、その必要性・重要性の啓蒙から始めなければならないということになる。
とてつもない大変な仕事である。
しかも、「家庭教育学」というものを確立しないかぎり大学とはなり得ない。
ここは、まず家庭教育学会を頼るしかない。
そこで、会長を尋ねることにした。
正直、お名前も知らなかった。
しかし、お会いして話をすれば何かヒントが得られるかも知れない。
先日お会いした副会長の方を通じてアポイントをお願いした。
その結果、千葉の自宅へお伺いすることになった。
これまでもそうだが、私は誰かに会ったり、どこかへ出かけたりする場合は常に一人である。
今回も、一人で地図を頼りに会長宅を尋ねた。
いかにも学者の応接間という雰囲気の、本がいっぱいある部屋に通された。
TK大学の副学長をされていたというから、いかにも学者風の方と勝手に先入観を持っていたが、お会いしたらまさしくそんな風貌である。
家庭教育学会の活動状況が聞けたり、この分野に詳しい人を紹介してもらえたりすれば十分だろう程度に思っていた。
しかし、話を聞いている間に印象がぜんぜん違ってきた。
「学生」のことを「お客さん」と呼んだり、勝手に休講する教員のことをけしからんと言ったり、世間からすれば普通かも知れないが、大学関係者から見れば革新的なセンスである。
学者だけでなく、経営者としても立派な方である。
この人が学長であれば、家庭教育の大学が作れるかも知れない。
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